【地方営業マンは、競合情報の専門家となれ】

地方は基本的にコンパクトシテイのため、
自社と競合会社の所在地が自然と近くなります。
また、首都圏マーケットほどに担当会社や担当エリアが
営業マンごとに細分化されていないため、
地方マーケットでは訪問する会社やエリア特性を
踏まえた提案なども、競合とかなり似通ってきます。
そうすると、競合会社の営業マンの情報は、
そのまま自分の担当クライアントにも影響してくるため、
その情報や動きを逐一把握しておくことが重要となります。
そこで私が取っていた策は、以下2点。
① 競合営業マンとの接触機会を持つ
② 競合営業マンの情報を、お客様との会話の中で聞き出す
福岡に配属された当初、
競合営業マンに知り合いがほとんどいなかったため、
競合会社の近くを通ったら飛び込み訪問をしてみたり、
お客様から紹介してもらい、突然電話をして挨拶をするなど、
まずは強制的に接触機会を作る事を心がけました。
一度接触できるとその後は早いのが地方の特徴で、
そのあと「一度、飲みにいきませんか?」と話をすると、
断られる事はあまりありませんでした。(女性は除き・・・)
そこでいきなり会社の状況などをヒアリングしては
誘った目的が見え見えなので、最初の接触はなるべく仕事の話は抜きに。
その営業マンとそれぞれの過去~現在、未来の話をし、
「個人対個人」としての話に終止させました。
そうして営業マン個人の人となりや話をお互いにできた後は、
次回以降の接触は非常に楽になります。
そこから徐々に仕事の話などを聞けるようになりました。
次に、お客様と商談で会話をする際に、
できるだけ競合の営業マンの話や評価を聞くようにしました。
そうすると、本人と話すだけでは見えてこなかった
競合営業マンの癖や印象、仕事ができる・できないなどの話が
聞けるようになります。
さらに、
「競合はこんな提案をしてきたよ」
「競合の担当者は正直好きじゃないから、なんとかいい提案をしてよ」
と、競合情報と同時に提案チャンスを拾えることもありました。
そこで分かった事は、
「結局、会社の規模やブランドがどうあれ、
そこで働く営業マンの印象の良い悪いで、仕事の大半が決まる」
ということでした。
競合会社の商品で効果が出ているとしても、
「効果はあるけど、それ以上の提案がないんだよね~」
という声がお客様から出れば、
まだ提案余地があるということですし、
「競合の商品は効果はあるけど、担当のことは嫌いなんだよね」
と言われているようであれば、
「じゃあ、僕を信じて予算を預けてくれませんか?」と言う事もできます。
また、競合情報に詳しくなると、
次に打つ手を早くトライできたり、
競合にはできない「スキマ」部分で勝つ戦略を取る
事ができます。
競合が
「圧倒的なプロモーションを武器に、夏に大規模な提案をしてくる」
という情報をキャッチできれば、
その前に提案に行き、先に予算を頂いてしまう。
「『競合が、弊社の商品を外すべき』という話をウチにしてきたよ」
という話を聞ければ、すぐに会社に伺い、
弊社の商品を使う理由を説明に行くなど、
早め早めに手をうつことができます。
また、各商品の営業マンにも、
その提案スタイルや営業方法には性格や癖があります。
ゴリゴリに毎日のように連絡をしてくるマメな担当もいれば、
あまり訪問はせず、一回の提案で全てを簡潔させる担当もいます。
私は福岡の営業マン時代に
「他の会社の営業マンと同じ事をしても勝てないし、印象も残らない」
と考え、他の会社の営業マンほぼ全員と接触し、
その担当者の癖や性格、提案方法などを
自分なりに調査・分析しました。その結果、
① 競合担当者の中で最も若い
② 体育会系キャラは自分のみ
③ 訪問数(接触率の高さ)なら、勝てる
上記3点を「福岡の営業マンの中での個性」だと確信し、
それを押し出したプロフィールシートを作って配ったり、
周りからそう見られるように自分の「見せ方」も変えるようにしました。
結果、上記3点のイメージをお客様からも競合他社からも持って頂けるようになり、
「会社ではなく、星野という人間」で勝負することができるようになったと
実感しています。
何も動かず、競合商品の数字や実績だけを見ているだけでは、
商品によほどの差別化ポイントがない限り、
そこに「勝ち目」を見いだすことは難しいと思います。
しかし、「戦う相手」を知る事で、戦い方が見えてきます。
スポーツ界では、プロ野球でもサッカーでも、
常に戦う相手の情報を調査し、その情報を元に戦略を練るものです。
だからこそ、戦力的には劣っていたとしても、
上位チームに勝つということが往々にして起こる訳です。
これは、ビジネスという世界でも同様です。
ブランド力・価格・商品力などのいわゆる「マーケテイングの4P」
だけで勝負が決まるのであれば、
そこに営業マンの存在価値はありません。
地方営業マンは、究極的に「人」で決まります。
完璧な人間など、ほとんどいません。
だからこそ、競合にも営業マンがいるのであれば、
その営業マンが完璧であることはほとんどありえないので、
そこに勝ち目が必ず見えてきます。
なぜなら、全員に好かれる、全員に「最高だ」と思われる人間など、
この世にはいないからです。
地方営業マンにとって、
競合を知るということは、勝ち方を知るということです。
それをしないままに、自社の商品力やブランド力に文句を言うのは、
お門違いだと、私は考えます。
・・・そんな一方私も、競合の営業マンが女性だった場合、
その接触機会を持つ事はなかなかうまくいきませんでした。
当時付き合っていた彼女に何と言って許してもらえばいいか分かりませんでしたし、
誘ってみても「どういう目的?」と警戒されがちだったため、
なかなかうまくいきませんでした。
今でも福岡時代の後悔の一つでございます・・・。
以上、何か参考になれば幸いです。